6億売上で4畳築50年アパートに住む1人社長

20代中盤で起業して3年目。会社兼自宅が港区の築50年の4畳アパート。世界中の6億売上の社長の中で世界で一番狭いとこに住んでいる1人社長。家賃が年収の1%。再生可能エネルギー関連事業。サラリーマンで営業を5年やってから起業 https://twitter.com/kigyou22

メーカー(作る)・販売店(売る)・顧客(買う)のそれぞれの目線からの「良い商品」とは何か   なぜメーカーが最高に良い商品と自負する商品が売れないかのメカニズム

メーカーが「これは売れる」と思う良い商品でも売れない商品は多々ある

なぜそのようなことが起こるかというと、
メーカーにとって「良い商品」でも、
顧客や販売店にとって良い商品ではないから売れない

「良い商品」は立場によって価値観が大きく変わる



顧客にとっての「良い商品」とは、自分が欲しいと思う商品である
安くて、高機能で、流行している、ハイブランド、おしゃれなど顧客の様々な価値観によって「欲しい」という需要が生み出される


メーカーにとっての「良い商品」とは、
自社の強みが活かされており、
製造に手間とリスクとコストがそこまでかからず、
故障リスクやアフターリスクが少ない商品が良い商品


売店によっての「良い商品」とは、
中間マージンを取りやすく、売りやすい商品
売りやすいとは競合他社が少なく、差別化が出来ている商品

売店はメーカーと違い、独自の技術もないので、同じ商品をどこからでも買われてしまういくらでも替えが効く存在

その為、相見積もりや競合が少ない方が失注リスクが少なく、
中間マージンも取りやすくなる

 



日本の老舗電機メーカーは良い商品を作れば売れると信じて、顧客のニーズよりもメーカーのこだわりを前面に出した商品を連発した
その結果、お客様から総スカンをくらって今の体たらくがある

シャープが代表的な「メーカーが良い商品を作れば自ずと売れる」主義で
転落した会社

「良い商品」とは立場によって違うので正解はない
「良い商品」が売れるのではなく、「売れる商品」が結果として「良い商品」ということになる

よく言われている、「強い方が勝つのではなく、勝った方が強い」、「正しい方が強いのではなく、勝った方が正しい」と同じ理論で、結果が出た商品が良い商品となる


メーカーと顧客にとって良い商品でも、販売店によって悪い商品ということもある

売店にとって悪い商品は、良い商品の逆に、中間マージンが少なく、どこでも取り扱っているので、どこからでも買えて、失注リスクがある商品

また、売るのにとても手間がかかったり、専門的な知識が営業時に必要になる商品も販売店によっては厄介な商品になる

メーカーと顧客に好評なら販売店が嫌がっても売れると思いきや、
売店が積極的に売らないと意外と売れなかったりする

どんなに素晴らしい商品を家電メーカーが発売しても、
家電量販店が店頭にならべなければ顧客は買えない

市場的に爆発的に人気が出て、顧客がメーカーに直接問い合わせるくらいになれば販売店に嫌われても関係ないが、そのような画期的な商品は中々頻繁に出てこない

その為、作る人のメーカー、売る人の販売店、買う人の顧客の内、
売る人の販売店が乗り気にならないと意外と売れない

次にメーカーと顧客にとってはそれ程良い商品でなくても、
売店によって良い商品だと売れるというケースも私の業界でもある

圧倒的な営業力のある販売店が、「この商品はスペックはそうでもないが、同業他社が扱ってないから相見積もりにならないし、中間マージンもとりやすいから積極的に売っていこう」と注力した結果、メーカーはなぜこんなに売れているか分からないが、なぜかよく売れるという状況が発生する

顧客にとって良い商品でなければ全く売れないと思いきや、
顧客の全員が全員真剣に徹底比較しているわけではなく、
勧められたから買う、よく売れてて評判良いと言われたから買うと
いうタイプの人も多いので、そのような人に営業力を駆使して売ったりする


ビジネスの本質を分かっているメーカーは、
顧客への宣伝にお金をかけるのではなく、販売店
自社商品を積極的に売ってくれるように口説き落とすのに労力をかける


売店も自分で買う時は顧客側になるので、
面白いことに売る商品はAで、自社で使うのはBみたいなことが起きる

その為、顧客は裏も全て知り尽くしている販売店
自社資金で買っている商品を選ぶのが本当の正解

売店は一日8時間毎日その商品と向き合い、
メーカーから裏情報も仕入れられるので、どんなに詳しい顧客よりもその道のプロには足下にも及ばない

顧客は所詮顧客が知り得る情報限の中での知識で詳しいだけ



売店は市場に出ている商品の良い点・悪い点を知り尽くしている
それを知らないと営業トークで他社比較が出来ないので売れない無能営業マンになってしまう

良い商品とは相対的なもので、他社の製品に比べて良いか悪いかで決まる
世の中は全て比較
自社商品がいくらいいと叫んでも、他社のことを知らなければ、具体的に何が優れていて、劣っているかも分からない

出来る営業マンは他社商品の分析を重視する
出来ない営業マンは売る商品だけの必死に見ている


ぽんこつメーカーの新商品会議は製造・技術者だけが集まって、自分の作りたい商品を考えるだけ
考えたとしても顧客のことだけ

そこに出来るエース営業マンを入れて、「それだと販売店が積極的に売ってくれない」の一言があるかないかでヒット商品になるかの分かれ目

無能な製造・技術者は「それだと販売店が積極的に売ってくれない」と
言われても理解出来ずにピンと来ないだろう

市場のゲームチャンジャーになるくらいの圧倒的な商品なら、
顧客が熱狂的に欲しがって、販売店の意向など関係なくなるが、
大抵の商品が他社製品と似たり寄ったり

だから売る人が鍵を握る

しかし、今はネットの普及でメーカーと顧客が
直接繋がることが増えてきたので販売店の影響力は昔ほどはない

顧客も昔のように情報があまりネットで検索出来ない時代ではないので、顧客にとっての「欲しい」が明確化されているので、営業力が高い人でもその価値観を昔よりも崩せないようになっている

メーカーにとっては、顧客と直接繋がれる時代なので最高

売店の意向やご機嫌は無視出来るし、顧客の生の声が直接聞ける


 

 

私は商社なので販売店の立場になる

売店の意向が邪魔して販売に影響が出るなら、
それではメーカーが直接顧客に売ればいいと思うかもしれないが、
メーカーが商社をかまさないで売るとなるとメーカーの
社員を何倍にも増やさなければいけない

家電製品を家電量販店経由で売らないとなると、
メーカーが通販サイトや販売店舗を全て自己資本
運営しなければならないのでとてつもない手間とコストがかかる

そこまで体力のあるメーカーは中々いない

Appleは大資本でアップルストアを運営し、作って
売るまでを全て自社で行うことによって巨額の利益額と高利益率を得た

ユニクロも同じ
自分で作って自分で直接顧客に売る

これがメーカーにとって理想だが、中々出来ることではない